天色ガール
「なんか、あたしが“閃光の姫”っていう噂が流れちゃって他の族から狙われてるらしいんです。だから守るために姫になれって……まぁ、仮の姫って感じですけど」
面倒くさくてだいぶ端折りながらだったけど一応説明した。
「アメを守るって…なんか面白いですね」
話を聞いたクモがふふ、と優雅に笑う。
───クモは、誰にでも敬語を使う。それも実の親である父さんにまで。
前に想乃と似てる人がいるって言ったけど、それがクモ。だからこいつも“腹黒”仲間だ。
ほんっとに爽やかスマイル王子とか、優雅に微笑む人とかが実は腹黒だなんて信じらんないよ。
「…何か失礼なこと考えてません?」
「げっ。……いや別に」
クモが明らかに嫌そうな顔をしたあたしをじろじろ見る。
そして「はあ…」大きな溜め息を吐いて、
「…で?結局姫の件はどうするんですか」
“次はないですよ?”そんな顔をして話を戻した。
うわ、怖っ!!
微笑みながら凍えるほどの冷視線を送ってくるクモが、あの悪魔想乃よりも恐ろしく感じた。