キミと、光さす方へ
「もういいのか?」


わざとらしく、大きな声で勇人が松本くんに声をかけた。


松本くんは一瞬驚いた顔を浮かべたが、すぐにうつむく。


「大丈夫」


短く答えて、もう顔を上げようとはしない。


しかし勇人はそれでは引き下がらなかった。


ああだこうだとみのない話題を次々と松本くんに振りかけている。


その度に松本くんは「あぁ」とか「ふぅん」とか、短い返事だけはしている。


それを見ていたあたしは思わず立ち上がり、2人に近づいた。


その後を泉も付いてくる。


「退院おめでとう」


「え、あぁ、うん……」


泉に言われて松本くんは焦ったように口にする。


そういえば、泉と松本くんが会話をするのはこれが初めてかもしれない。


「今日も病院に行くの?」


あたしが聞くと松本くんは左右に首を振った。


「そっか、それなら良かった!」


あたしはわざとらしく大きな声で言い、パンッと手を叩いた。


「実はね、松本くんの退院祝いのパーティーを考えてたの」


「パーティー……?」
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