キミと、光さす方へ
聞きなれない単語なのか、松本くんは困惑顔だ。


こっちが勝手に決めてしまったことだから、困っても当然だった。


でも、今日は強引にでも松本くんを我が家に呼ぶつもりだった。


両親にはすでに説明してある。


「そんなのいらないよ」


松本くんは小さな声で言ってうつむく。


「もう用意できてるんだから、主役が参加しなくてどうするの」


泉が腰に腕を当てて松本くんを睨んだ。


その目にたじろいでいる。


少しかわいそうな気になってきたけれど、あたしだって勇人と同じでここで引き下がるつもりはなかった。


「今日の放課後、あたしの家でやるから。みんなで帰るんだよ」


あたしが言うと、松本くんは困ったように眉を下げた。


その表情が可愛くて、思わずキュンとしてしまう。


「もう逃げられないからな」


勇人はそう言ってニカッと白い歯をのぞかせて笑ったのだった。
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