キミと、光さす方へ
1時間も自主的に居残っていたから、周囲に見知った顔はいない。


この様子なら明日『勇人と一緒に帰ってたでしょ』みたいに声をかけられることもなさそうだ。


「琴江の家ってもっと先?」


十字路へさしかかったとき勇人がそう聞いてきた。


ここから家の方向が違うのかもしれない。


あたしは立ち止まって頷いた。


「あの赤い屋根の家だよ。勇人はここを曲がるの?」


「あぁ」


勇人は頷いたが、なぜか十字路の手前で立ちどまった。


「どうしたの?」


あたしは首をかしげて聞く。


「あのさ、琴江って好きなヤツとかいんの?」


そう言った瞬間勇人の頬が赤く染まった。


「え?」


あたしは驚いて聞き返し、勇人から一歩離れた。


この雰囲気はまさか……。
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