キミと、光さす方へ
抱きしめられるだけでこんなに幸せを感じられる相手、きっと二度と現れない。


「琴江」


直哉は両手であたしの頬を包み込んで、顔を上げさせた。


泣き顔はあまり見られたくなかったけれど、あたしは素直に従う。


直哉の唇があたしの唇に押し当てられて、体の芯が震える。


好き……!


この気持ちをどう表現すればいいかわからなくて、あたしたちはいつまでも抱き合っていたのだった。
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