キミと、光さす方へ
☆☆☆

目が覚めた時、あたしは家の目の前にいた。


相変わらず勇人の顔が近くてハッと覚醒する。


「ご、ごめん!」


そう言ってすぐに勇人から離れそうとするが、ガッチリと両手で抱きかかえられていて下りることができない。


「大人しくしてろ」


勇人がそう言った時玄関が開いてお母さんが出てきた。


「あら、まぁ!」


あたしと勇人を交互に見て目を丸くしている。


「はじめまして、クラスメートの石井勇人です。そこの十字路で琴江さんが倒れたので、連れてきました」


こんな状況なのに、勇人は丁寧に挨拶をする。


お母さんは慌てて勇人を家に招き入れた。


あたしは自分で歩くと言ったのだが勇人は聞きいれず、そのまま自室のベッドに寝かされることになった。


上半身を起こしてみると頭がクラリとして、すぐ横になってしまう。


「だから言っただろ? ちょっと休んどけ」


勇人はそう言ってあたしの額を人差し指でつついた。


「ごめん、ありがとう……」


あたしは消え入りそうな声で言った。
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