俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

なので、伶士に【傀儡】の影響が及ばないと思われる状況。

伶士の傍を離れた時が…殴り込みのチャンスだ。

スピード勝負、急襲をかける。



(親父、一世一代、大勝負の時間だ…)



左耳のピアスに触れ、光が漏れないように耳を覆って握る。



すると、花魁女郎蜘蛛に動きが出てきた。

伶士の背中を撫でるのをやめて、ジッと見つめている。

しばらく見つめた後、ベッドから足を下ろした。



…離れるか?!



そして標的は、私の期待通りにその場を立つ。

全裸のまま、ヘッドボードの空になったグラスを手にした。

ベッドから離れて、向かうところは…趣味の悪い黒い羽根の山。

…行け、離れろ。もっと!



「…Knight,…move on…」



引っ張って溜めて、来たるべき好機の為に、小声で開印をしておく。



そして、黒い羽根の山の傍にしゃがみ、手を伸ばした。

ヤツがこっちに背を向けた。



…今だ!




「…Kinnara,sowaka!」




完全開印と共に、床を蹴ってリビングの中へと飛び込む。

ヤツの背中目掛けて。



窮鼠猫を噛みまくってやる。

猫のドタマ、噛みちぎってやる!



伶士を護る、その為に。







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