俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
★★★







「治らない、治らない…ああぁぁっ!何で!…何でこんなことに!」



刺さるように鋭く鬼気迫る、男の叫び声を耳にした。




「…なずなサン、なずなサン!ここで死んではいけません!…ああぁぁっ!」




(…なずな?)




なずな、そこにいるのか?

…何でだろう。なずなと久しく会っていなかったような気がするのは。

すごく寂しくて、すごく会いたかったような気がするのは、何故なんだろう。



なずなに…会いたい。

会いたくてたまらない。



砂漠で喉を枯らす、旅人のように。

水が貰えない、花のように。



そう思って、ふと目を開けた。

だが、何故か瞼が重たく、映る視界は細い。

体も何か、重だるい。



視界に薄っすらと映ったのは、どこかの一室の天井だった。

ここ、どこ…。

なずなは、どこだ…?



…と、ボーッと思ってると、体がフワッと温かくなる。

え?布団かけられた?

というか、俺寝てるの?



すると、視界に入ってきたのはキラッと輝き、サラッと弾んだ長い金髪だった。

そして、次に顔がヌッと視界に入り込んでくる。

< 310 / 541 >

この作品をシェア

pagetop