俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
いえいえ絶対忘れませんよ。
なずなが教えてくれないなら、凌憲に聞いちゃうもんね。
そうだそうだ。凌憲を連れていけば解説のひとつでもしてくれるだろう。
…絶対行ってやる!
『なずなさんの舞、私はぜひ観てみたいですね』
『忠晴さん、日本舞踊わかるの?』
『昔、妻と観に行ったことがあります』
『ほんとー!』
…えぇい!忠晴は話に入ってくるな!運転だけせい!
どうせ春子(忠晴の妻)の付き添いで、おまえだってワケわからんまま眠たくなる類じゃないのか!
そう心の中で悪態をついているうちに、車はあの高級肉屋に到着。
『おおぉぉ!おおぉぉ!…ついにここの敷居が踏めるのか!』
声が大きい!…まだ車の中で良かった。
高級レストランを前に興奮して吠える女、聞いたことない。
…でも、本日のなずなは、少しギャルさは残るもの、いつもの派手さはなく露出も控えめなベージュのニットに黒の膝丈スカートとブーツで。
あぁ、こいつなりにここに来る服装を考えたのかな?と思うと、それがちょっと可愛らしく思えた。