俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

…だなんていう明らかな嫌悪を見せることは出来ず。

渋々と無言で席を立つと、「スミマセン」ともさ男も一緒に席を立った。




「…こっちです」

「スミマセン」

「……」



最低限の会話以外は無言で、俺ともさ男はなずなの部屋へと向かう。



…いや、この男の何が嫌だってわけでもないんだけど。

何で、こいつに軽く嫉妬してんのかも、わからないんだけど。

話をしたら良いヤツかもしれないしなぁ、でもなぁ。



頭の中で悶々と、言い訳のような結論の出ない自己分析をしながら、もさ男を後ろに連れて階段を昇る。

二階に上がった右手には俺の部屋があって、その奥が、以前なずなが住み込み護衛していた時に使っていた部屋だ。

「…ここです」

「ハイ」

玲於奈の方をチラリと見るが、ヤツはやはりもさっと立っているだけだった。目が長い前髪に隠れて表情がよくわからない。その前髪切ってくれ。前見えるのか?

そんなケチを心の中でつけながら、なずなの部屋をノックする。

だが、応答がないし、気配がない。

…あれ。この部屋で合ってるよね。

< 408 / 541 >

この作品をシェア

pagetop