俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「…なずな?」
首を傾げてもう一度ノックする。
だが、シーンとしており、うんともすんとも応答がなかった。
あれ。あれ。
「寝てるんでしょうカ」
もさ男が、もさっと喋った。
と、同時にドアノブに手を掛けて、部屋のドアをちょこっと開けて覗いている。
…って、おいおい!淑女の部屋を勝手に開けるな!
「なずなサーン、僕です。入りますよー」
「ち、ちょっと!」
制止をしようも間に合わず、玲於奈はそう言いながら、ドアの隙間に顔を突っ込んでいた。
こいつ、とんでもない根性だな!
マナー違反に対する怒りなのか、嫉妬の怒りなのかわからないけど、取り敢えずイラっとさせられる。
「ち、ちょっと、もさ…あ、く、黒川さん!」
もさ男と呼びそうになり、一瞬コイツの苗字がわからなくなり、噛んでしまったところで、もさ男はくるっと振り返る。
思ったより俊敏で、体をビクッと震わせてしまった。
な、なんだいきなり!
「なずなサン、寝てます」
「えっ」
もう寝てる?
到着さっきだよね?ほんの数分前だよね?
早っ!