俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

『力』が無ければ、大切なものを護ることが出来ない。

大切なものが自分の盾となり、朽ち果てていくのを黙って見守るだけ。



…今回は辛うじて免れたという状態なのかもしれない。

でも、こんなことが繰り返されるのであれば、本当になずなを失ってしまう。

それだけは…それだけは絶対嫌だ!



(どうしたら?…どうしたらいいんだ…)



自分のせいで、大切な人が傷付かないようにするためには、どうしたらいい?

俺を護って傷付くなずなを、護るにはどうしたらいいんだ…?



けど、葛藤の中でただ藻掻いているだけの今の俺には、そこには絶望しかなくて。

藻掻けば藻掻くほど、自分の力の無さを感じては、只々涙を流すしか出来なかった。



そんな後悔だけの自分が恨めしい。腹が立つ。

でも、力が欲しいのに、力を持ってはいけない。

そうなると、何をどうしたら良いのか全く持ってわからない。



わからないんだ…!



暗い部屋の中、只々大切な人を想い、無力な自分を恨んで、涙を流し続ける。

一晩中流した涙の色は、窓の向こうの夜空に照らされて…青く見えた。








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