俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
熱で皮膚がチリチリと焦げそうだ。
(熱い…)
…いつも、傍から見ているだけだったから、わからなかったこの熱さ。
感じたことない、知らずにいたこと。
戦うことは、こんなにも熱を浴びるだなんて…知らなかった。
でも、なずなたちは、いつもこんな思いをして、戦っていたんだ。
判断を間違えば手負い、死とは隣り合わせ。
神経のひりつくような、こんな思いを。
(負けない…!)
今一度歯を食いしばって、腰を入れて、襲い掛かる圧力を己の身で押し返す。
空手で鍛えただけあって、基本、体幹は備わっている。俺だって力押しで負けるつもりもない。
互いの身を隔てる結界が擦り合い、バリバリと火花と工事現場のような騒音を響かせる。
足元もグラグラと揺れているような気がして、本当に工事現場にいるようだ。
でも、そんなものには動じず、一歩、二歩。
「…何っ!」
後退したぶんだけ押し返すと、あちらさんからの懐疑的な声がした。
弱者と思っていた俺に噛みつかれた気分になったか、表情からして大層気を害していらっしゃるようだ。