俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
そんな昔話を終えた親父は、何となく遠い目をしている。
まるで、あの頃を思い出しているような。
その姿を見ていると、何だか切なくなった。
【夢殿】の予知夢の力は、そんな悪いことばかりじゃない。
ただ、狙う者が、己の欲のために悪用しようとするから、悪いものになってしまっているだけだ。
叔父さんは、【夢殿】の今までの記憶を見なかったのか?
【夢殿】の周りは、涙や血ばかりじゃない。笑顔や感謝、恵みもあったのに。
…とは、思うけど。
ひょっとしたら俺も、もしあの時なずなが死んでいたとなれば、同じ事を考えたかもしれない。
人の感情は紙一重だ。
「兄貴も赤也もクソ真面目だったからな。クソ真面目カタブツ同士。……俺があの二人にふざけた事を言ってやりゃ良かったのかな、とは今更ながらに思う」
「え?親父、赤也さんに会ったことあるの」
「一度だけ、ちょっとな。兄貴に紹介されて。見た目も絵に書いたようなカタブツだ」
どんな人だったんだ。
そして親父は、俺の方をじっと見つめる。