俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
《伶士がいい……伶士と、一緒にいたい》
だから今、俺がここで簡単に連れ去られるわけにはいかない。
もしそうとなれば、無茶をするヤツがいるのをわかっているから。
そいつに無茶をさせたくない。
それが…今の俺の『正義』だ。
「…もし、それが『正義』だというのなら、そんなものクソ喰らえだ」
護る、その為に。
俺は持っているだけの限りある力で、抗う。
例えどんなに微力でも。
簡単に抗えないとは、わかっていても。
「ぷっ…あははは!」
何故だか、彼は急に破顔した。
次第に腹を抱えて笑い出している。
そんな突飛な行動に、呆然とするしかないのだけれど。
「あははは!…面白い。面白かった。今まで色んな人にこの話を問いかけてきたけど?…橘くん、君の答えが一番面白かったよ?」
「え…」
「正義の味方は偶像崇拝で?善も悪もないその結果、僕たちの『正義』がクソ喰らえ?…良い度胸してるね?実に面白かった」
破顔したその表情は一瞬のみで、次第にあの薄気味悪い笑みが、その顔に甦ってくる。