-恋の結末を-
「じゃあまた明日ね〜」
「うんっまた明日〜」


萌子と別れ、電車を降りた。

心臓が大きく揺れたのを感じる。



広(ひろ)がいたからだ。





————逃げたい。消えたい。恐い。



広を前にすると、そんなことを思う。
そんなことを、思うようになってしまった。








広は、小学生の時に転校してきた。
同じクラスの隣の席に。



そこから私たちは、どんどん仲良くなっていった。
広は、かっこよくて元気。
広の周りにはいつもたくさん人がいた。

お互い人気者なこともあり、友達が多かった私たちは、中心となってみんなで遊ぼうと誘い、お互いの家にもよく行っていた。





「両思い」



きっと、私も広も分かっていた。





6年生のある日、噂が飛び交った。




————つばきは広に告られたらしい。本人が言っていた。




そんな事実はない。
願ってはいたけど、そんな事実はなかった。

そして、そんなことを言いふらした覚えもなかった。


なのに……


その日から、広の態度は変わった。
私が嘘をついたと思ったんだろう。



そのまま小学校は卒業。中学に入学した。



相変わらず、私も広も、人気者だった。
周りにはいつも自然と人が集まる。


ある時広は、私をひどいやつだと言いふらした。
まず、女子が信じた。
そして、男子も。


私は
一人ぼっちになった。



広はルックスも良く、運動もできる。話も面白い。
でもどこか、何を考えているか分からないところが、女子から人気だった。
広の言うことは絶対だったのだ。
学校の絶対的エース、陽キャの王様の広を、みんなが信じないわけがなかった。



それから、広からの風当たりはどんどんひどくなった。言ってもいないこと、やってもいないこと、全てが私のせいになり、大きな声で悪口を言われる毎日が続いた。


広が変わった6年生のあの日の出来事。
あの誤解さえ解ければ、元に戻るような状況には思えなかった。



全校集会や、合同授業、ふと広を見ると、必ず目が合い、私を見ていた。怒りを向けている。そんな目をしていた。



学校に行きたくない。
そう家族に話したのは、随分経ってからだった。
クラスの女子からも嫌われ、仲間外れにされる毎日が、耐えられなかった。

数日間学校を休み、尚更学校が嫌になる。
このまま転校したい、環境を変えたい。
そう思っても、そんなことを親には言えなかった。



次第に、広のせいでこんな毎日が続くことへの怒りが芽生えて始めていた。


ついに広とは和解することなく、そのまま中学校生活は何とか終了した。


< 3 / 41 >

この作品をシェア

pagetop