キミと同じ世界
「学園祭もうすぐだから、気合入ってたね〜」
エリが苦笑い。
そんな教室へ向かう道の中、私はキャラメル色を探す。
見つけたからといって、何をするわけでもないけど。
そう自分に言い聞かせるように、視線を泳がせていた。
「あ、転入生」
誰に言うわけでもなく、呟いたノッチの声。
周りをキョロキョロ見ていて、三人の後ろをついて行っていた私は、ノッチの視線の先の方へ目線を向ける。
クラスルームの教室と、準備室棟を繋ぐ三階の渡り廊下。
窓枠に背中をもたれ掛けて、立ち尽くすトウヤの姿。
さすがイケメン。それだけでサマになっている。
隣のクラスの子たちが教室から身を乗り出すようにして騒いでるのが横目に見えた。
そんな視線の的の彼は、ふと私たちの方を見て、獲物を見つけた動物かのような顔をした。
「ミズキ!」
私たちの元へ歩みながら、そう叫んだ彼。
私の背中に大量の汗が滴り始めたのは、言うまでもない。
他の三人もポカン、と何も言わずに彼が歩いてくるのをただ見つめていた。
私たちの状況も気にすることなく、私の前に立ち構えたトウヤ。
あの頃はほぼ同じような背丈だったのに、今は見上げてしまうような彼との差。
一瞬の出来事に、何も出来ず立ちすくむ私。
例えるならば、逃げ遅れた小鹿。
「お前、体育館どこだよ。広すぎて探す気失せたわ」
刺のある言い方だが、その声は優しく、私を本気で責めてるわけではないとわかる。
「おい、無視すんなっつの。ミーズーキ」
何も言わない私に、トウヤが少しかがんで、私の顔を覗き込む。
近くで見ると、余計キレイな顔立ち。
女の子なら、誰でも惚れるだろう。