キミと同じ世界
教室の後ろを通って、後方ドアへと足を進める。
トウヤのほうへ目を向けないように、ひたすらエリの背中を追いかけた。
「—あ、佐山さん!相川さん!」
目の前の背中はピタッと止まり、「なあに?」と返して身体を教室内へ戻した。
私も止まらざるを得ず、私たちを呼んだ声の方向を見てしまう。
「今からカラオケで松沢くんの歓迎会やるんだけど、
佐山さんたちもおいでよ〜」
十人くらいの塊の中、トウヤを真ん中に据えて、
その彼に一番近いポジションで、こちらに手招きをする亀田さん。
チラリと集団の真ん中を見ると、話題の人物と目が合う。
真っ直ぐと私を見ていたみたいで、その目は小動物を捕える狩人のよう。
その視線に恐怖を感じる。
しかしそれを遮ろうとも、彼の鋭い目線は私の顔を突き刺す。
「うーん、今から彼氏とデートだから行けないや。、、ミズキは行く?」
狩人に捕えられた私の状況も露知らず、
柔らかい口調でエリは私に話を振った。
亀田さんたちの視線も私に注がれる。
「わ、私も行けない!」
集団に見られる緊張の中、普通に返そうと努めた。
「そっか、ざんねん〜」と、私の返答を聞いた瞬間すぐにそう言った亀田さん。
ライバルが減って、きっと嬉しいのだろう。
その言葉に心はこもってないように聞こえた。
クルリと身を翻し、トウヤの方へと体を向ける亀田さん。
周囲も再びトウヤを囲うように話をし始めた。