私しか、知らないで…

玄関に走ったら北翔がいた



「花澤!」



泣いた顔を見られたくなくて

顔を隠した



「花澤?」



「なんだ、待っててくれたの?北翔」



涙を拭って

無理に笑って北翔に顔を向けた



「別に…待ってたわけじゃないけど…
たまたま…」



「まだ間に合う?」



「え…、なにが…?」



「北翔の彼女になれるかな?
もぉ遅い?」



先生

見てる?



どこかで先生が私を見てる気がして

わざと笑顔で振る舞った



北翔といる私って

幸せそう?



笑えてる?

楽しそう?

いい感じ?



先生がそんなふうに見てくれてるなら

似合ってるのかもね

私たち



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