こんな思いを···いつまで

毎日、あの顔を見なくて
済む事は助かる。

総務課では、役に立たないが
教えて貰える事は
きちんとこなした。

お昼は、山内さんが
一緒に食べてくれた。
「ひまりちゃん、大学でて
初めて働いたのでしょ?」
「はい。すみません。
お役にたてなくて。」
「違う、違う。逆だから。」
「ん?逆?」
「だって、教えた事は完璧
パソコンも早いし
すごく助かったてるの。」
と、言って貰えて嬉しかった。
「こんな、私でも役にたてるなんて。」
「こんなじゃない。すごいよ。」
と、言われた。

今週末の事を考えると憂鬱だ。

山内さんには、話しておかないと
と、思い。
「少し、お時間頂いても
宜しいですか?」
と、言う私に
「じゃ、珈琲飲みながらね。」
と、小会議室へ。
「すみません。お時間頂いて。」
「大丈夫よ。私も話しあったから
先にひまりちゃんの話し聞かせて。」
と、言われて
自分は、鮎川財閥の娘で
ここ大倉の専務と政略結婚をする事
婚約発表が週末にあり
3月には、入籍
4月には、挙式だと話した。

「そう。政略結婚とはいえ、
ひまりちゃん、浮かない顔ね。」
と、言われて
私は、父親から憎まれていること
だから、海外にでるつもりでいたこと
ボランティアをしながら
ピアノが教えたかった事を話した。

山内さんは、私の頭を撫でながら
「お金持ちの事は、良くわからないけど。
辛いね。まして、相手が専務とは。
私としては、会社の存続が
大事だけど。
少しでも、ひまりちゃんの役に
立ちたいから、ずっと総務課に
いなさい。
一緒にいたくないんでしょ?専務と。」
と、言われて驚くと
「わかるよ。
専務の顔もみないし。

だけどごめんね、
実は知っていたの専務とのこと。
私の夫は、社長秘書の菅よ。
別姓だけど。夫婦なの。」
と、言われて、またまた、びっくり
だけど、それで話がスムーズ
だったとわかった。
「だけど、断れないんだね?」
と、言われて頷く
「結婚しません、と父に言いました。
ですが、男児に生まれなかった以上
女を使うように····と····」
涙が流れる私を自分のハンカチで
拭いてくれる山内さんに
秋穂様のように優しさを感じた。
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