こんな思いを···いつまで
五話···婚約発表

···ひまり


週末の件で父の秘書から
連絡があり、指定されたホテルへ。

フロントで名前を告げると
直ぐに案内されて
髪型から着物まで。
私の意思など何もない。

準備ができ、また案内の方に
連れられた先に
父と父の秘書
大倉財閥の総帥と専務
「遅くなりまして
申し訳ございません。」
と、頭を下げる
「大倉さんの会社には
なれたのか?」
顔も見ずに訊ねる父に
「お役には立てずとも
働かせて頂いております。」
と、言うと
「総務でか?
私は、翼君の元で、と言ったのだが
まぁ、良かろう。
翼君にも、事情があるだろうから。」
と、ジロリと専務を見る父。

焦っている専務を見て
「楽しく働かせて頂いております。」
と、言うと
ふん、と鼻をならす
「総務課の課長より、是非にと
頼まれまして。」
と、大倉財閥の総帥
「まぁ、良い。
私の意志は、伝えてあるから。」
と、言う父に
大倉財閥の総帥は頭を下げた。

直ぐに時間となり
父や大倉財閥の総帥、
専務の後について歩く。

会場には、沢山の方々がいた。

父と大倉財閥の総帥が挨拶をし
父の秘書が
専務と私の紹介をした。

私は、このような場所に
でることは一度もなかった·····

なんと、美しい····
鮎川財閥にあのような娘さんが···
なぜ大倉?とか·····
政略····か

色々な声が聞こえた。

父達の挨拶が終わり
私達の紹介も終わると
専務について挨拶へと回る。

笑顔をうまく貼り付ける事も
できずにいた。

すると·····
「久しぶりだね。ひまりちゃん。
かわりなかったかい。」
と、声をかけて頂いたのは
「三井様、ご無沙汰しております。」
と、頭をさげると
「母は、知っているの?」
と、小声で言われて
首を横に振る。
「直ぐに耳にはいるよ。」
と、また、小声で
その声に顔をあげて三井様を見ると
心配そうな顔をされたので
大丈夫ですの意味で微笑むと
頭を優しく撫でられたので
もう一度、頭をさげて
その場を離れる。

「三井財閥の総帥を知っているのか?」
と、専務に訊かれ
「はい。三井様と言うより
三井様のお母様と顔見知りです。」
と、答えると
「そうか。」
と、言われただけで済んだ。

それからも挨拶は続き
正直、疲れてしまっていた。

18時から始まり
20時にやっと終り
再び着替えをして
ホテルを後にする。

玄関に専務がいて
「送る。」と、言われたが
お断りをして
私は、自分でタクシーに乗り帰った。

その日は、疲れて寝てしまった·····
秋穂様から電話がかかったのも
気づかずに····
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