こんな思いを···いつまで

···翼


着物を着た彼女は
それは、それは美しかった。

あまりの美しさに言葉がでずにいると
秘書でなく総務か?
と、鮎川財閥の総帥に
睨みつけられた。

早く手を打たなければと
焦るが····
彼女が、
「楽しく働かせて頂いております。」
と、言ってくれて
話しは終わった。

時間になり
鮎川財閥の総帥
そして父の挨拶が終わると
鮎川財閥の秘書から
俺と彼女の紹介があった。

彼女は、社交界にでていなかったのか
あちこちから
美しい····
あんなお嬢さんが鮎川にいたのか····
なんで、大倉···とか
聞こえてきたが
今は、胸をはって堂々と。
彼女と挨拶に回る。

挨拶しながらも
みな、彼女に目が行く。
彼女は、微笑むわけでもなく
無表情だ。

だが、彼女がホッとした顔をしたのは
三井財閥の総帥とあった時だ。
三井財閥の総帥は、
彼女をひまりちゃんと言い
親しそうだ。
彼女は、どんな人間なんだろうか···

今日の婚約発表も
わかっていたはずなのに
朝から機嫌の悪い静に
若干辟易していた。

早く帰りたくないから
彼女を送ろうと
待っていたが
自分で帰りますと
タクシーに乗り帰って行った。

なんなんだよ!
俺は、君の許嫁だぞ。
と、一人で言いながら
マンションに戻ると
静は、ソファーに座って
テレビを観ていた
いや、観てるふりをしていた。

俺は、
「ただいま。」
と、言ってお風呂に入る。
明日、父と話そう
そう考えていた。
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