こんな思いを···いつまで

···翼と静


次の日は、さすがに
彼女は、朝食の準備をしていなかった。

無理矢理な事をしたと
思っていたが
まさか初めてとは····思っていなかった。

そんな風に思いながら
会社へ出社すると
父・社長から
「ひまりさんは、お休みらしいが
どこか悪いのか?」
と、聞かれて
えっと、思うが
「はい、少し」
と、答えた。

山内課長に休みの連絡を
したのだろう

今日は、早く帰るか
と、考えながら仕事にかかる。

早目に仕事を切り上げ
マンションに帰るが
音一つしない
彼女の部屋を開けると
ソファーと鏡台があるのみ
ブランケットがソファーの上にあるが
彼女は·····いなかった。

何処に行ったのか····
と、思っていると
玄関のブザーがなり
彼女かと、開けると
静が立っていた。

「どうして、LINEもメールも
電話も返さないのよ!」
と、怒鳴るから
「静、ここには来ない約束だろ?」
「翼が、連絡を無視するから
仕方ないじゃない。」
騒ぐ静を黙らせて
静の部屋へ移動すると····

静から、手帳を見せられた。
「なんだ?」
と、見ると
❬ 母子手帳 ❭と、記載されていた
「えっ、子供?」
「そう。翼と私の赤ちゃん。」
「ええっ、本当に?」
「うん、本当。
ほら、エコー写真もあるよ。
いま、3ヶ月だって。」
「へぇー、これが。」
と、ひまりの事を考えて
いたのに静のお腹の事で
頭がいっぱいになり
「翼に早く知らせたいのに
連絡つかないし。
一緒に病院にも行って欲しかったのに。」
と、拗ねたように怒ったように
言う静に
「ごめん。バタバタしていて。」
と、言いながら抱き締めた。
「喜んでくれる?」
「もちろん。」
と、言いながら
静にキスをした。

いつの間にか二人とも機嫌もなおり
二人でお風呂に入り
翼は、静を抱き締めて眠りについた。
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