SP警護と強気な華【完】
次から次へと耳に入る真実の数々。
父親の存在が明かになり
その正体は娘の誘拐犯であり今回の黒幕だったと
現実を受け入れる前に柊の過去を聞かされて。
誰を、何を信じるべきなのかと
カトレアはどうしたらいいかわからなくなっていた。
「僕は最初から財産が目当てで結婚して
カトレアが産まれてから10億の存在を知ったんだよ。
けれどあの爺に勘付かれて一銭もくれなかった。
だから可愛い孫娘が誘拐されたとなれば
幾らでも金を出すと思ったんだよ」
『それなのに…』と続ける父親の表情は一変。
「誘拐したヤツらが失敗したおかげで
あっさり事件は解決してしまうし
結局、僕のところに金は入ってこなかった。
それどころか僕が主犯だと勘付いた爺に
離婚・追放されたんだ!」
その目は憎悪に満ち
禍々しい殺気が漂っている。
「ひどすぎる…
お金だけの理由で
お母様と結婚して私達を騙していたなんて…」
「そうだね。
だから今となれば
カトレアは記憶が戻らず何も知らないままの方が
幸せだったかもしれないね」