SP警護と強気な華【完】
170㎝ほどの身長で小太り
黒縁の太く大きな眼鏡に
ボサボサでカラスのような真っ黒な髪。
見るからに気持ち悪さが滲み出ている男の口元は、不気味な笑みを浮かべている。

「お嬢さん
 コイツが例の野郎か?」

男から守るように
カトレアの前に立ち小声で尋ねるが…

「違う…この人じゃない」

全然見た事もない男だった。

けれど男はカトレアの名を知っている。

その事実に恐怖を覚え
微かに身震いする彼女を
柊もわかっている。

「俺の後ろにいろ。
 離れんなよ」

背中越しに聞こえる力強い言葉に
彼の優しさを感じ。

「うん」

どうしてもドキドキしてしまう。

だが今はそんな場合ではない。

「ぼ、僕は冬月さんに用があるんだ!
 そこをどいてくれッ!」

そう言って突然
男はポケットから折り畳み式の小型ナイフを取り出すと、刃を柊達に向けたのだ。

「きゃあぁっ」

たまたま近くを歩いていた女子生徒が
刃物を持つ男に気が付き叫んでしまい
辺りは一気に騒然。
その場にいた人々は男から一斉に離れた。
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