SP警護と強気な華【完】
驚き困惑しているカトレアの相手はせずに
彼は話を続ける。
「詳しい内容までは俺も知らんけど
遺産総額は結構な桁らしい。
だからその大金目当てに
お嬢さんの命が狙われる事を恐れた爺さんは
俺に護衛の依頼をしたってワケ」
「そんな…嘘…」
「嘘だったらこっちも有難いけど
実際にさっきも男に跡をつけられていただろ。
ヤツの目的も金かもな」
柊から聞かされる真実に
本当に自分の事なのかと半信半疑で耳を傾けていた。
「そんな…
私は何も知らない…
お爺様からも聞かされていないし
わからない事が多すぎる…」
理解し難い話に
頭の中は混乱していた。
祖父の死後から跡をつけ狙われたり
知らない男に護衛を言い渡された所で
その理由が”遺産”だなんて
すぐに受け入れられるはずがないのだ。
それともう1つ
カトレアは気になる事があった。
「遺書なんて…見た事がない」
柊に言われるまで相続の事すら知らなかったのは
書面でも口頭でも
1度も祖父から聞いていないから。