SP警護と強気な華【完】
「仮にあなたの話が本当だとしたら
相続する相手に何かしら手掛かりを残すはず。
なのに私は何も受け取っていないし
どこにそのお金があるのかも知らない。
それなのにあなただけがこの話を知っているなんて…
そんなのを信じろって方が無理よッ」
冷静に思い返してみると
やはり怪しいのは”明確な形”として提示せず
口頭だけで信用させようとする柊だ。
そう考えると彼の作り話だと疑い
腹立たしい気分になった。
「だから詳細は知らねーって言っただろ。
爺さんはわざわざSPに依頼しているんだ。
遺産の話は本当なんだろ。
お嬢さんが信じられないとしても現実なんだよ。
早いとこ狙われてる自覚と
金を守る覚悟を持ってもらわねーと、こっちが困る」
「なッ」
「せいぜい死なない努力はしてくれよな」
文句の1つも言い返したかった
柊のあまりに冷たい態度に言葉が詰まる。
「も、もういいです。
帰ります」
「送っていく」
「結構です!」
頑なに拒否し1人帰っていくカトレアの後ろ姿を
柊は溜め息を吐きながら見守っていた。