SP警護と強気な華【完】
こんな事になるとは思いもしなかったのだろう。

張り詰めた空気の中で
追い込まれていく男の焦りは
柊にも伝わっていた。

だから冷静に語りかけるように言う。

「この女に用があるのはわかった。
 だけどそんなモン振り回されちゃ
 まわりの連中も怖がるし
 お前の立場も悪くなるだけだ。
 それじゃ話も出来ねぇだろ」

なんとか気持ちを落ち着かせようと試みたのだがーーー

「僕は関係ない…
 何も知らない…
 僕は知らないんだ!
 うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」

突然の発狂。

男は刃を向けたまま
真正面から柊に突っ込んでいった。

「柊さんッ!!」

“殺される”
そう思うカトレアだが。

「…甘いな」

柊は、まるで風のごとくヒラリと身を交わし
かと思えば秒の速さでナイフを持つ男の腕を掴み
懐に入って思い切り背負い投げた。

瞬きすれば一瞬の出来事のように
彼によって呆気なく男は確保されたのだ。

「くっ…」

抵抗も虚しく地面に体を押し付けられてしまう。

「誰の差し金だ」

柊はこの男から黒幕を聞き出そうとした。
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