LOVE and DAYS…瞬きのように
「かんぱーい」
ビールのプルタブを引いた瞬間、缶から勢いよく泡が吹き出す。
真由ちゃんは大げさに焦り、そしてケラケラと笑った。
お酒のせいか、夜のせいかはわからないけど、あたしたちはたくさん話をした。
他愛のない話でも、言葉にしていくたび、少しずつ心が軽くなる気がした。
波は黒いうねりになり、寄せては引いてをくり返す。
規則的な波音はどこか深呼吸のようにも聞こえ、あたしはゆったりした気分になっていった。
今日、この夜に、ひとりじゃなくて本当によかった。
「真由ちゃん」
ふと呼ぶと、真由ちゃんは缶ビールを口元から離し、「ん?」と首を傾けた。
「いつも本当にありがとう……。ずっと、友達でいてね」
ポカンとした真由ちゃんの顔が、月明かりの下でみるみる赤く染まっていく。
「な、何を改まっていきなり言うのよぉ。もしかして莉子ちゃん、酔ってる?」
真由ちゃんは照れ笑いしながら、あたしの肩を突いた。
たいして強い力でもなかったのに、あたしの体は簡単に横に倒れた。
「えっ。ちょっと、莉子ちゃん?」
あれぇ……?
あたし、本当に酔っぱらってるんだろうか。