好きだった同級生と再会した
 数秒の沈黙が流れた。

「あのさ」

 本田くんが言いかけたとき店内にいた三歳くらいの男の子が別の男の子と騒ぎだした。傍にいた母親たちが叱りつける。

 そちらに気を取られてしまった私は再び本田くんに意識を向けた。

「えっとごめん、何?」
「いや、何でもない」

 ばつが悪そうに本田くんが言った。苦笑して頬をポリポリする彼も様になっている。イケメンって何かずるい。

「そっか、じゃあ私そろそろ行くね」

 何だかこの場にいるのが辛くなってきて、私はくるりと背を向けた。

「またね、本田くん」
「あ……ああ、またな」

 私は店を出た。

 家に帰る途中で連絡先を交換しておけば良かったと後悔した。
 
 
< 7 / 8 >

この作品をシェア

pagetop