翡翠の森
「“いつもの”か……懐かしいわね。ジェイダが来たのが、貴女が子供の頃のことみたい」
「一歳すら変わらないのに」
ジンの目が優しく細められ、何故だか俯いてしまう。
「だって。ロイ様にカッとなって、服を脱いで飛び出したのよ? 挙句、お姫様抱っこで戻ってくるのだもの」
思い出し笑いを続けるジンに、ジェイダは赤い頬を膨らませた。
「あの時の貴女は年相応の……もしかしたら、それよりも幼い、憎めない女の子だった」
恥ずかしい。
年齢だけでいえばそう変わらないというのに、この差は何だ。
目の前にいるのは、自分とは比べ物にならないほど落ち着いた大人の女性。
「まあ、今でもそんなところはあるけど。あんなに足が遅くて、私から逃げられると思ってるの? 」
両手を腰に当てて見下ろされ、うっと詰まる。
(え、嘘……撒けてなかった? )
「……ごめんなさい」
となれば、あのメイドたちとのやりとりも見られていたのだろうか。
心配をかけたうえに、どこかで見守っていてくれた?
「いいえ。それが私の職務」
申し訳ない。
優秀だというのに、これではただの子守りではないか。