追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
「聖女様、親子丼とカツ丼が一つずつ、鶏南蛮定食が二つっす!」

「はーい。鶏南蛮は売り切れそうですね……予想外に人気です」

「それじゃあ、次の客には他のメニューを勧めてみる。こっちのパエリア定食もうまいけど、馴染みのない奴も多いからな」

「前世では出していませんでしたっけ。レシピに残っていないということは……調味料不足で作れなかったのかもしれません。前世は今ほど食材が豊富ではありませんでしたから」

これからも、作ったものは、細かくレシピに残すようにしようと思う。

気分でレシピを変えることも多いけれど、レシピがあれば、誰かに料理を引き継げるかもしれない。前世の料理が、まさか今も伝わっているなんて思わなかったから、百年後に自分の料理が広まっていることを知って嬉しかった。

ここの料理人たちにも感謝したい。

店に余裕が出たので、私は空いている時間にクッキーを焼いて配ったり、仲が良くなった魔族に差し入れを持って行ったりした。魔王城ライフは楽しい。

途中でシリルが、自分にも差し入れが欲しいと駄々をこね始めたので、彼のところにもお菓子を運んでいった。周囲が最優先で持って行けと言うので……

「お世話になっている身だものね」と、答えると、「そういう意味ではないのですけれど」と曖昧な返事をされる。

なんにせよ、差し入れが喜んでもらえて良かった。シリルだけでなく、彼と一緒に勤務しているアルフィも嬉しそうだし。
< 144 / 211 >

この作品をシェア

pagetop