追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~


シリルは持ち場を守りながら、魔王城を睨んでいた。

奮闘の甲斐あって、集められた小さな下級魔族たちは無事だ。ソワソワしながらも、皆元気そうにしている。

しかし、なぜだろう、胸騒ぎが収まらない。

遠くで魔法を打ち合う音がしていたが、徐々にそれもやんでいった。戦いが落ち着いたらしく、シリルの持ち場に伝令役が駆けてくる。

伝令役は魔王である父に向けてするように、シリルの前に膝をついて深く頭を下げた。突然のことに、シリルは戸惑いを隠せない。

「新魔王様、ご即位おめでとうございます。前魔王様たちのおかげで、我々は今回の戦いを乗り切ることができました」

「……どういうこと? 何を言っているの?」

頭を殴られたような衝撃に、思わず息を飲み込む。

シリルの質問に、伝令役は城で起こった正確な情報を次々と伝えていく。

魔族は大勢の異世界人の襲撃に苦戦していたこと、魔王フレディオが倒れたこと、聖女エマがあとを引き継いで暫定魔王となり、命がけでモフィーニアに結界を張って半永久的に人間を閉め出したことなど全て。

「これで、モフィーニアは、もう異世界人の脅威にさらされることがありません。シリル陛下の治世では平和な国になるでしょう」
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