追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい!~私が真の聖女だったようですがもう知りません!~
階下に降りて掃除と洗濯を済ませ、屋敷のダイニングで朝食の準備する。

なぜか、昔から料理が得意だった。特に習った覚えはないのに、手が勝手に動く。

そうこうしているうちに、家族が起きてきた。

「あら、嫌だわ。朝から汚い魔族もどきの顔を見てしまうなんて……今日はついていないわね」

私を見た母は不快そうに顔を顰め、開口一番に聞こえよがしな嫌味を言う。

「ちょっと、エマ! 私のドレスが仕上がっていないじゃない!! 昨晩、頼んだわよね?」

母に続いて私に罵声を浴びせるのは妹のリマだ。大事に育てられた双子の妹は我が儘で、私に無茶な要求ばかりする。

「だって、それは次の舞踏会まででいいって言っていたから……」

「言い訳するんじゃないわよ!! この、役立たず!! 本当に使えないわね!! ああ、そうそう、今日の午後に殿下が来るから、あんたも準備をしておきなさいよ!! 私に恥をかかせたら承知しないから!!」

儚げな美しさとは裏腹に、リマの行動は私へのどす黒い悪意に満ちていた。

「薄汚い使用人風情が、朝食の席に姿を見せるな。さっさと出て行け!」

最後に父が大きな拳で私の頬を打ち、厳しい声音で叫ぶ。

ついでにテーブルにあった皿を掴んで私にぶつけてきた。

皿は私の額に直撃し、そこから生暖かいものが流れて服を汚す。せっかく作った食事も床に散らばってしまった。早く、片付けなければ……
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