あなたは私の救世主!~俺様ドクターの命じるままに
2人はマンションへ繋がるエレベーターに乗り、
最上階に着くと聖人はあの日の事を思い出した。

『ミルクと初めて会ったのは、あの階段上った所の屋上だったよな…』


みくるは、部屋に行く扉を開ける手が止まり
聖人の顔を見て微笑む。

『覚えてくれてたんですね』


そして聖人の手を掴み階段を上って屋上に出ると、気持ちいい風が吹き、いつもの夜景が広がっていた。


『ここに、私の救世主が現れたんです』

『ははっ、俺が勘違いしてミルクの事怒鳴ってたよな…あの時は、本当悪かったよ』

『……勘違いじゃ…なぃかもしれません』


そっと聖人に近寄り、抱きつくみくるは
迷子の子犬のように弱く…脆く…哀しげだった。

『ミルク?…勘違いじゃないって…』

『私がここに来るのは……消えたくなる時です。
……あと一歩、足を踏み入れたら…』


その時、突然吹き付けた風からみくるを守ろうと
体に力が入る聖人は、離れて行ってしまいそうな
不安に襲われ、みくるをきつく抱きしめた。

『消えたりしたら、絶対許さないからな!
俺から離れるなよ。分かったか!』

『はぃ。………また、怒られちゃった』


微笑むみくるの目から零れる涙を拭い、
冷たくなった唇を聖人のキスで温めてあげた。



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