林檎

きっと確信犯だ…。






散々な1日だった。








今日に限って授業中にペアをつくりなさいが多すぎた!!あれはもう完璧に裏で繋がってるだろ










こっちの気持ちも考えてくれ。

気まずいんだよこれでも。









中でも今日最も酷かったのは体育だ。


折角週一の体育だったのに、俺はクラスの男達と本気のドッチボールをしようと思っていたのに。












「はい、今日はペアになってフォークダンスの練習するぞー!」











なぜこのタイミングで???


フォークダンス??


きっとみんな同じ顔をしていたと思う

( ˙-˙ )こんな感じ











クラスの皆のお陰で僕は彼女に合法的に触る形となりました。皆は僕達がこんなことで喜ぶとでも思っていたのでしょうか?











少なくとも俺は嫌だった。クラスの雰囲気が。茉莉奈もちょっぴり嫌だった。



でも、そんなふうに思ってしまう俺自身が1番嫌だった。

















「ね、放課後時間ある?」








俺の目を見ずに聞いてきた




あの時から、あの関係になってから、
声は小さいし俺に何か言う時はいつも緊張してるのかそっぽ向いている









「ごめんな。俺今日妹の面倒みなきゃでさ、おうちにお留守番なんだ。また今度にしようぜ」








半分嘘で半分本当だ。俺には妹がいる。3個下の中学3年生。お留守番は一緒にしなくてもいい歳だが、そんなことは関係ない






兄は妹が心配で心配でたまらないからな!
ほら!働け俺の正義感!これ以上罪悪感に苛まれたくない。









茉莉奈は焦ったように謝った

「あ!そうだよね!急にごめんね、妹ちゃんによろしく伝えてね」




「ああ、わりぃ。また空いてる日教える」



「うん。」










俺は茉莉奈に手を振って玄関へ向かう









直樹が何だか物言いたげに俺を見ていた




「お前の妹、お留守番できないほど小さかったっけ?」




「けっ、知ってんだろ。1人で夜中トイレにも行けない中学3年生だよ」




「えぇぇー!嘘ついて茉莉奈ちゃんのおデートのお誘い断ったのぉ?!信じられない」





直樹が大袈裟な反応をするから、俺の罪悪感が活発に俺の良心に攻撃してくる。





「別にどこも嘘じゃねえし。」





さすがに苦し紛れだった。









「何が気に食わないのさぁ。あんな完璧な彼女おらんぜ?羨ましいなあ。可愛くて明るい女の子からモテモテでぇ」







「俺、好きな人いないし」











直樹の動きが止まった。さっきまでくねくねしてたはずなのに。











俺は、俺以外の時の流れがストップしてしまったのかと思った。そのくらい長い一瞬だった。










まさか…




俺に恐ろしいアンサーが浮かんできた。もしこれが正解なら今俺が吐き出した言葉は吸い込むべきだ。














そうめんのように一気に言葉を吸いたい。または、時を逆回しにしたい。














無理だ。これはきっとまずいぞ。
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