私の罪
私は、ため息をつくと「分かった。とりあえず一回話そ?」とだけ送った。

すると彼から返事がきて、今夜、私達は久々に電話をすることになった。

正直、利用されてると分かっていても嬉しかった。

だってもう連絡を取れないと思ったから。

もう、りょうの声が聞けないと思ったし、会えないとも思ったから。

でも、彼から「会いたい」と言ってきた。

こんな願えるはずもないチャンスを今掴まないとこの先きっと後悔するよねと私は思った。

ーーーーー

夜になってりょうからコールがきた。

「もしもし」

「もしもし、さくら?」

「うん・・・」

「やっぱ、さくらの声、大好き」

「ありがと・・・」

私は自分が思っていた以上に冷静さを保てていた。

「どうしたの?急に・・・。うまくいってないの?」

あくまでも大人の女性として、自分の秘めた感情を出さず、落ち着いた状態で彼に尋ねた。

すると彼は「やっぱ、さくらがいい」とだけ答えた。

「ん、何が?」

「エッチ」

「・・・・・」

呆れて声も出なかった。

「それだけじゃなくて、俺、さくらと話してるときが一番楽しいんだ!」

「そうなの?」

「うん、だってさくらは俺の話聞いてくれるし、すごく話しやすい」

それは、私がりょうのペースに合わせているから、とは言わなかった。
< 32 / 45 >

この作品をシェア

pagetop