私の罪
「そっか、嬉しい。ありがとう」

「さくらに会いたい・・・」

「・・・・たら良いよ」

「え?」

「彼女さんと別れてくれたら良いよ」

これは勝負だった。

私と彼女さん、どちらかを選ぶとなったとき、りょうは誰を選ぶのかが知りたかったし、それで私の方を選んだら私は同級生の女子に勝ったことになる。

こんな優越感は35年間生きていて冥利に尽きるのではないかと思った。

すると彼は悩むでもなく間髪入れず「うん、良いよ!さくらが望むなら別れる!」と答えた。

でも、私は勝って嬉しいという気持ちよりも彼が私を選んでくれたということの方が素直に嬉しかった。

「本当にいいの?」

「うん、良いよ!それでさくらが俺と会ってくれるなら彼女と別れる!」

「え!?ほんとうに?」

「うん!!」

私は本当に本当に嬉しくて涙が出そうになった。

「私も・・・りょうに会いたい」

「え?本当に!?」

「うん。本当はずっとずっと会いたいと思ってたの・・・」

「マジで?超うれしい!!」

「私も嬉しいよ!ものすごく嬉しい!」

もう、企てやプライドも捨てて私は自分の素直な気持ちをりょうの前で曝け出した。

もう気持ち悪いって思われてもいい。

人からドン引きされてもいい。

私は本当に彼を、15歳の中学生の彼を、本気で好きなんだ。
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