ささやきはピーカンにこだまして
「ドライブでわたしの右肩をねらってもいいよ」
「なんだ、そりゃ」すっとんきょうな叫び声はとなりのコートから。
「おい、ヤギ。そりゃ無理だわ」
「いや…。準ならできると思ってるんだろ。な、八木」
はい。
なので。
「先輩たちは、先輩たちで集中! お願いします」
「うは。怒られちゃった」結城先輩がフロアに落ちたシャトルをラケットでひょいと拾って笑う。
「どうやら八木の要求は、おれたちよりキツイらしいぞ。おれたちも試験が終わったらなんて悠長なことを言ってないで、もうちょっとシメるか?」
「やぁだぁー」
二紀が汗だくの顔をぬぐいながら小松にしなだれかかる。
小松は困って二紀の頭をぽんぽんたたいてる。
けっこういいコンビかもね…と思っていると、すぐそばで結城先輩のやさしい声がした。
「じゃ、20分前だからおれたちはあがるけど……」
思わぬできごとに息が止まった。
「……っ……」
だって、結城先輩と視線の高さが同じだなんて。
「充分、気をつけてな、八木」
「は…はい、先輩」
跳び箱からとびおりて、真澄先輩と並んでアリーナを出ていく結城先輩の背中を直立不動でお見送り。
「じゃ姉貴。ぼくらもお食事タイム。ばぁいびー」
わざとらしく疲れた様子で肩を落とした二紀と、シャトルコックの箱をかかえた小松がネットを片づけに体育倉庫に行くのにおざなりに手を振って。
跳び箱に飛び乗ったらなんだかうれしくて笑っていた。
だって、これが結城先輩の見ている高さなんだぁ、と思ったら、見えるものすべてが新鮮なんだもの。
「なんだ、そりゃ」すっとんきょうな叫び声はとなりのコートから。
「おい、ヤギ。そりゃ無理だわ」
「いや…。準ならできると思ってるんだろ。な、八木」
はい。
なので。
「先輩たちは、先輩たちで集中! お願いします」
「うは。怒られちゃった」結城先輩がフロアに落ちたシャトルをラケットでひょいと拾って笑う。
「どうやら八木の要求は、おれたちよりキツイらしいぞ。おれたちも試験が終わったらなんて悠長なことを言ってないで、もうちょっとシメるか?」
「やぁだぁー」
二紀が汗だくの顔をぬぐいながら小松にしなだれかかる。
小松は困って二紀の頭をぽんぽんたたいてる。
けっこういいコンビかもね…と思っていると、すぐそばで結城先輩のやさしい声がした。
「じゃ、20分前だからおれたちはあがるけど……」
思わぬできごとに息が止まった。
「……っ……」
だって、結城先輩と視線の高さが同じだなんて。
「充分、気をつけてな、八木」
「は…はい、先輩」
跳び箱からとびおりて、真澄先輩と並んでアリーナを出ていく結城先輩の背中を直立不動でお見送り。
「じゃ姉貴。ぼくらもお食事タイム。ばぁいびー」
わざとらしく疲れた様子で肩を落とした二紀と、シャトルコックの箱をかかえた小松がネットを片づけに体育倉庫に行くのにおざなりに手を振って。
跳び箱に飛び乗ったらなんだかうれしくて笑っていた。
だって、これが結城先輩の見ている高さなんだぁ、と思ったら、見えるものすべてが新鮮なんだもの。