ささやきはピーカンにこだまして
 そうよ、ね。
 年下…なんだもん。
 わたしは大丈夫。
 年上、できるよ。

 うつむいて。
 床に置かれた右スリッパに足を入れながら
 (シンデレラかよ)
 ツッコむ余裕も生まれてくる。
「あっ!」
 えっ?
 (じゅん)がわたしの足のうしろを指さしている。
「ゴキ…」
 (え。えっえっ?)
「どこ? …や。どこ?」
 いやーっ。
 だめだめだめぇ!
 やみくもに逃げ出した先に、準の胸。
「いやっ」
 突然わたしは準の腕のなかで身動きできなくなっていた。
「ゃ…、ちょ…」
「おかえし」
「な…。うそなのね?」
「あなたでも、こわいものがあるんだね」
 っもう。二紀(にき)ね。
 なにくだらないことをしゃべってるの。
 ぶっとばす!
「やめてよ。こわくないもん。放して。放しなさいっ」
「子ども扱いするのは、やめて」
 いやっ。
 そっちこそ!
「ふざけるの、やめなさいっ」
 放して、放して。
 こんなところを二紀に見られたら――…。
「わかった。わかったから! きみが子どもじゃないのは、も、充分わかったから。――準!」
 ふりほどけない。
 わたしの心臓はどんどん、どんどん、壊れていく。
 
 とくん とくん とくん
 とく とく とく とく

「やめてっ。……や、めて」
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