ささやきはピーカンにこだまして
「それにさ。思うに……」
思うに?
「ヒーローって、案外もてないと思うな。近寄りがたいじゃん」
「…ふ、うーん」
まさか弟とこんなことを話すとは思わなかったけど。
二紀も男の子…なんだし……。
「二紀は? 二紀はなんでじゅ…実取くんと、友だちになりたかったの?」
「ヒーローだったからに、決まってるでしょ」
えぇぇぇぇぇ?
「ぼくより目立つとか、許しがたいじゃんか」
「なんだそれは」
あきれてしまうけど。
本心だろうな、とも思うけど。
それがすべてじゃないのは、今のふたりを見ていればわかるし。
「姉ちゃんは? 姉ちゃんだって好きでしょ、ヒーロー」
「…………」
それは、あこがれはするけど――。
「けど、本気なら。本気で好きなら……、相手がヒーローとか……。考えなく…ない?」
「本気ってなに?」
「…………っ」
二紀はアレイを握った手をぐいぐいと肘から曲げながら、力こぶの具合を確かめている。
もの思いにふけりながら、わたしの手はしっかり二紀の動作の補正をしていた。
「あ、そうか。手首の強化だったね。――こう?」
「そう……」
「…………」
「…………」
くいくいと手首を曲げてみせる二紀にうなずいて、またぼんやりと考えてしまう、準のこと。
思うに?
「ヒーローって、案外もてないと思うな。近寄りがたいじゃん」
「…ふ、うーん」
まさか弟とこんなことを話すとは思わなかったけど。
二紀も男の子…なんだし……。
「二紀は? 二紀はなんでじゅ…実取くんと、友だちになりたかったの?」
「ヒーローだったからに、決まってるでしょ」
えぇぇぇぇぇ?
「ぼくより目立つとか、許しがたいじゃんか」
「なんだそれは」
あきれてしまうけど。
本心だろうな、とも思うけど。
それがすべてじゃないのは、今のふたりを見ていればわかるし。
「姉ちゃんは? 姉ちゃんだって好きでしょ、ヒーロー」
「…………」
それは、あこがれはするけど――。
「けど、本気なら。本気で好きなら……、相手がヒーローとか……。考えなく…ない?」
「本気ってなに?」
「…………っ」
二紀はアレイを握った手をぐいぐいと肘から曲げながら、力こぶの具合を確かめている。
もの思いにふけりながら、わたしの手はしっかり二紀の動作の補正をしていた。
「あ、そうか。手首の強化だったね。――こう?」
「そう……」
「…………」
「…………」
くいくいと手首を曲げてみせる二紀にうなずいて、またぼんやりと考えてしまう、準のこと。