ささやきはピーカンにこだまして
何度もインターホンのボタンを押しかけて止まってしまう指がなさけない。
「あああああ」
頭をぷるぷる振っていたら、カチャリと音がして。
「んもう。かわいいけどね。…いいかげんにして」
ドアが開いた。
「……ぁ……」
頭、真っ白。
考えていたご挨拶の言葉もとんでしまったけど。
「準! 起きていいの? 熱は? 苦しくない?」
ブルーのチェック柄の上下がパジャマだということにすぐに気づいて、無意識に手がその額に伸びていて。
「――ごめん。入って」
赤い顔で、こふこふと咳をした準に促されるままに室内に入る。
準は黙ってスリッパをセットすると、先に立って奥に向かった。
「あの、おうちのかたは? ご挨拶して、あの、すぐに帰るから――…」
準?
返事をしてくれないので、仕方なくついていく。
ドアの先はリビングだった。
「ごめんね。ぼく、コーヒーくらいしかだせないんだ。そこ…座ってて」
えっ?
「あ…の、おうちのかたは?」
「みんな学校。……あ、姉は大学生だけど。父と母は教えるほうね。ぼくだけ完2休の私学に入っちゃって――。週末はいつもひとりなんだ」
準……ひとり?
「あの…、だって…」
その先を言ったらいけないのは、わたしにもわかる。
「あああああ」
頭をぷるぷる振っていたら、カチャリと音がして。
「んもう。かわいいけどね。…いいかげんにして」
ドアが開いた。
「……ぁ……」
頭、真っ白。
考えていたご挨拶の言葉もとんでしまったけど。
「準! 起きていいの? 熱は? 苦しくない?」
ブルーのチェック柄の上下がパジャマだということにすぐに気づいて、無意識に手がその額に伸びていて。
「――ごめん。入って」
赤い顔で、こふこふと咳をした準に促されるままに室内に入る。
準は黙ってスリッパをセットすると、先に立って奥に向かった。
「あの、おうちのかたは? ご挨拶して、あの、すぐに帰るから――…」
準?
返事をしてくれないので、仕方なくついていく。
ドアの先はリビングだった。
「ごめんね。ぼく、コーヒーくらいしかだせないんだ。そこ…座ってて」
えっ?
「あ…の、おうちのかたは?」
「みんな学校。……あ、姉は大学生だけど。父と母は教えるほうね。ぼくだけ完2休の私学に入っちゃって――。週末はいつもひとりなんだ」
準……ひとり?
「あの…、だって…」
その先を言ったらいけないのは、わたしにもわかる。