ささやきはピーカンにこだまして
益子先生が腕組みをして、大きく息をついた。
「――いまさらだね、真澄。充分時間はあったはずだよ。飯田を止められなかったのも、新入生が確保できなかったのも、あんたらの力不足だろうが。明日、放課後まで待ってやる。どんな汚い手でも使うって言うなら、わたしは聞けない。結果だけ持っておいで」
「…………」唇を噛んだ真澄先輩の代わりに結城先輩が立ち上がって。
「ありがとうございます」
益子先生に頭を下げた。
体育館を出て行く益子先生のうしろ姿に、真澄先輩は中指を立てるけど、結城先輩はまず石川を気にしてくれた。
やさしいんだ。
「大丈夫。おれたち3人で試合はまわせる。部員登録だけしてくれる帰宅部のやつには当てがあるから、泣くな、小松」
「結城は甘いんだよ」
吐き捨てたのは美香キャプテン。
「最初から幽霊部員でいいと思ってたから、小松の失態にも目をつぶれるんでしょ。そんなことで小松の世代からはどうするの」
それは、ごもっともなんですけども。
「おれたちがこの先の後輩に残してやれるのはもう、公式大会に参加しているっていう記録だけなんだよ、美香」
それは悲しすぎます、結城先輩。
「出られりゃいいの? 小松は? あんた、自分の世代のためにも、もっとがんばれたんじゃないの?」
それはないよ、美香キャプテン。
「小松は一所懸命やりました!」
思わず発言していた。
だってわたしは、となりで見ていた。
ちゃんと知ってる。
「――いまさらだね、真澄。充分時間はあったはずだよ。飯田を止められなかったのも、新入生が確保できなかったのも、あんたらの力不足だろうが。明日、放課後まで待ってやる。どんな汚い手でも使うって言うなら、わたしは聞けない。結果だけ持っておいで」
「…………」唇を噛んだ真澄先輩の代わりに結城先輩が立ち上がって。
「ありがとうございます」
益子先生に頭を下げた。
体育館を出て行く益子先生のうしろ姿に、真澄先輩は中指を立てるけど、結城先輩はまず石川を気にしてくれた。
やさしいんだ。
「大丈夫。おれたち3人で試合はまわせる。部員登録だけしてくれる帰宅部のやつには当てがあるから、泣くな、小松」
「結城は甘いんだよ」
吐き捨てたのは美香キャプテン。
「最初から幽霊部員でいいと思ってたから、小松の失態にも目をつぶれるんでしょ。そんなことで小松の世代からはどうするの」
それは、ごもっともなんですけども。
「おれたちがこの先の後輩に残してやれるのはもう、公式大会に参加しているっていう記録だけなんだよ、美香」
それは悲しすぎます、結城先輩。
「出られりゃいいの? 小松は? あんた、自分の世代のためにも、もっとがんばれたんじゃないの?」
それはないよ、美香キャプテン。
「小松は一所懸命やりました!」
思わず発言していた。
だってわたしは、となりで見ていた。
ちゃんと知ってる。