声と性癖
16.あなたを独占したい
「結衣さん。」
「はい?」

有無を言わさず、リゾートマンションに連れてこられて、ソファへどうぞ、と座らされた結衣だ。

涼真がペットボトルの水を結衣に手渡す。
さすが、気が効くなぁ…。

手元のそれを結衣はありがたく、こくこく飲んだ。
その様子を見ていた涼真は、目を細めて、結衣の首元をするりと撫で、横に座った。

「どうやら、僕はとても嫉妬深いようなんですよ。」
「は……い?」
結衣に向かって、涼真がにっこり笑いかける。

「独占欲が強くて、嫉妬深いんだなぁって、すごく思いました。」
笑顔が凶悪なんですけど、なんで……?

「は、はい……。」
「佐野さん、でしたっけ?抱かれていた結衣さんを見て、頭に血が昇ってしまった。それで、つい、あんな感じになってしまったのですけれど。」

「あの、私が転びそうになったから、支えて下さっただけで、抱かれてはいませんから……」

そうだ!
この人の脳内変換……忘れていたよ!

「僕にとっては一緒です。」
ち、違うからっ!
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