声と性癖
ここはひとつ食べ物で誤魔化すしかない!!
結衣はダイニングキッチンを指差した。

朝っぱらからこの話で洗面所に3人で立ち話なんて、おかしいでしょ?!

「なんなの!もう、激うまなんだけど!」
楓真は結衣の作った朝食を美味しそうに頬張っていた。

「残り物ですって……」
朝はパンがあるので、オムレツにしようと昨日のビーフストロガノフのソースを少し残しておいた結衣である。

オムレツにそのソースをかけたものを出したところ、物凄く喜ばれてしまったのだ。

「涼真兄いいなー。可愛くてお料理上手で、しかも自分のこと理解してくれるなんて、こんな人なかなかいないよ?」
「分かっている。」

ビーフストロガノフが美味しかったのは、涼真が買ってきた食材が良かったからだし、今朝も残り物で仕上げただけと思っているので、結衣としては褒め過ぎの感があり困ってしまう。

「……で、お仕事も出来ると。なるほどねー、涼真兄が警戒して、俺のだ俺のだってなるわけだね。」
涼真は表情を変えず、黙々と食事を続けていた。
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