声と性癖
そう言って、結衣は会社に出ていく準備を始めた。

「食べるもの置いてありますので、暖かくしてしっかり休んで下さいね、お薬も飲み忘れないようにして……。」

玄関で出かける間際までいろいろ、言っている結衣の頭を涼真はぽんぽん、と撫でて、
「大丈夫。今日は大人しくしていますから。」
そう言って結衣を送り出した。

本当を言えば、いってらっしゃいのキスとか、ハグとかしたいところだけれど、結衣に風邪をうつすわけにはいかない。

涼真がキッチンに入ると、おにぎりとスープが用意されていた。
それを温め、有難くいただく。

本当にこんな体調を崩すようなことは、何年ぶりか分からなかった。
けれども結衣がとんでもなく、甘やかしてくれるので、たまにはありかな……とスープを飲みながら涼真は思ったのだった。

しかしやはり、まだ完全に回復はしていなかったようで、薬を飲んでベッドに横になると、一気に眠りに引き込まれる。

次に涼真が起きた時は昼過ぎだったが、朝よりもさらに身体がスッキリしているのを感じた。
スープの残りとパンで食事を済ませて、シャワーを浴びる。
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