声と性癖
常に事故と向き合う仕事をしている結衣だ。
それは、他人事には思えず、過剰な心配かも知れないが。
それでも…。

「事故を起こしたら、あなたが対応してくれますか?」
ふと、目元を笑ませて、蓮根がそんなことを言うので、結衣は、笑い事じゃないです!とぷりぷりして返す。
「しません!もう、代車はありませんからね!」

「結衣さん、ちゃんと気をつけて帰ります。あなたが心配してくれるから。だから、お約束の印にハグだけさせて?」
もう、意味わかんない。

けれど、ベルトを外した結衣は蓮根をきゅっと抱きしめた。
離れようとするが、蓮根は離してくれない。

「あの…蓮根先生…?」
「名前で、呼んでくれませんか?」
「で、も…」
背中を撫でられる。

「あの、もう良くないですか?」
「もう少し…」
そう、囁きかけられて、はあっとため息。

「…っ…」
思わず、ぎゅっと蓮根の背中を掴んでしまった。
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