ずっと気づかなかっただけ。

何度も夢中になってキスしてたら、

チカくんのケータイが鳴る音で現実に戻る。

「んっ、チカくん、けーったい、」

「…もうちょっと」

触れるだけのキスだけど、

ドキドキで身体がうまく言うこときかないし、

チカくんの顔が近すぎて息するのも躊躇われて、

いっぱいいっぱいの私に、

チカくんが本当に甘々100%のオーラでキスするから嬉しくて、もうダメって言えない。

…まだ、もっと、って溢しそうになる。

それでも鳴り止まないケータイに、

チカくんが舌打ちする。

これは、少し怒った舌打ち。

「真白、」

最後なって言わんばかりの、

優しいキスにさらに体温があがる。

うぅ、イケメンずるい、チカくんかっこいい。

チカくんがポケットからケータイを出して電話にでる。

チカくんの胸にぐりぐりと頭を押し付けて、

チカくんのイケメンパワーを噛み締めてると、

『…サッカーそろそろ集まるって。探してた。』

聞こえて来たクマさんの声にハッとする。

自分のケータイを取り出すと、

不在着信にメッセージが、たくさん。

慌ててなっちゃんに電話をかける。

「もー!だからサイレントマナーは辞めなさいって言ってるでしょ?」

「ご、ごめんなさいっ、今から行くね!」

「急ぎすぎなくてもまだ平気だけど間に合うように来てね。」

「わかった!心配かけてごめんなさい!」

なっちゃんの声がチカくんにも聞こえてたのか、

チカくんが行くかって私の腕をとる。

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