ずっと気づかなかっただけ。
さっきまでの緊張でうまく立ち上がれない私に驚いた顔。

「腰抜けた?」

ニヤリと意地悪な顔になるから、

「…チカくんのバカっ!」

ポカポカと手を叩くと、

楽しそうに笑う声がして、

腰に手を回されて、ゆっくり引き寄せられる。

「立てるか?」

優しく聞かれて、

力が入ることを確認して頷く。

「ん、サッカー応援してる。」

またチュッとリップ音をたてて、

お礼を言うために顔を上げた私の唇を奪うから、

力が抜けそうになるのを堪える。

「チカくんはキス魔なの?」

反論をしようと開いた口から出た言葉に、

「さぁ。真白だけだし。」

ってパワーワードが返って来て、

見事射抜かれてしまう。

「うぅ、ずるい。かっこよくて許しちゃうじゃん…」

私の言葉にチカくんが笑って、

2人で手を繋いでグラウンドに向かう。

チカくんのこともっと好きになれた。

チカくんも同じ気持ち…かな?

時折り少し前を歩くチカくんを見上げてこっそり思う。

ふふ、かっこいいなぁ。



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