【完】傷だらけのプロポーズ
謙遜したつもりはない。 けれど女性顔負けに美しい顔立ちをしている男を前に、激しい羞恥心に見舞われる。
…あまり、近くで顔を見ないで欲しい。
どれだけ隠したって、ボロが見えてしまいそうで怖かった。
「綺麗な容姿をしているのに気まで強いなんてますます興味が沸いたよ、小田切美麻さん。
手荒な真似をして済まない。 いつか君と話をして見たくって、今回のチャンスは逃したくないと思ってしまった」
「あの、副社長……」
彼の言っている事はさっぱり理解出来なかった。
「副社長ではない。大河だ」
「はい。存じております。我が社の副社長ですもの。
助けていただき大変感謝しております。 ありがとうございました…。
あの、では、私はこれで失礼します。 もう帰るつもりだったし、怪我もしていませんので。
社長もパーティーの途中ですのでお戻り下さい。」